作曲のはじめ方

作曲は難しいのか。作曲でどうやって稼ぐのか。そのあとで、1曲目を作る手順を順番に見ていきます。

作曲は難しいのか覚えることと、時間がかかること

作曲は、覚えれば簡単です。

しかし、プロのクオリティにするには、どうしても時間がかかります。

手順を覚えれば1曲は作れる。プロのクオリティまでは、時間がかかる。

1曲目を作る手順は、04 作曲の手順で見ます。

作曲で稼ぐ方法商業作家と、アーティスト型作家

作曲で稼ぐ道には、商業作家とアーティスト型作家があります。

2-1商業作家

頼まれて曲を作る作家。発注書の言葉の奥にある本当の望みを読み取り、音にする仕事です。

アイドル・アニメ・ゲーム・CM などの曲を作ります。何人もの作家が曲を出し、その中から選ばれた曲が使われる「コンペ」の形がよくあります。

例:商業作家に届く発注書

楽曲コンペ 募集要項(抜粋)
女性アイドルグループ 新曲 候補募集※授業用の架空の発注書
プロデューサーより
これまでの明るい王道アイドルから、思い切って方向転換します。大人っぽく、圧倒的にかっこいい曲にしたい。ただ、ファンがみんなで口ずさめる明るいサビは残してください。
楽曲仕様
ワンハーフサイズ以上。女性ボーカルの仮歌(歌詞入り)必須。

※授業用に作った架空の発注書です。実在の企業・団体・楽曲とは関係ありません。

「かっこよく」と「明るいサビ」のように、発注書の言葉はよく食い違います。どこが外せない核で、どこが飾りなのかを見抜くのが、作家の仕事です。

よい所

  • 自分が表に出なくても、曲で仕事ができる
  • いろいろなアーティストやジャンルの曲に関われる

大変な所

  • コンペで選ばれないと、曲はお金にならない
  • 自分の好みより、注文に合うことが先

やること

  • 発注書の「絶対に外せない核」を見抜いて守る
  • 自分の得意なサウンドで、その曲にしかない一点を作る
  • 歌う人の音域に合わせてメロディを書く

2-2アーティスト型作家

自分の名前で曲を作り、自分の手で世に出す作家です。

例えば、ボカロPやビートメイカー。自分が感動した経験から、人の心を動かす曲を作ります。曲を SNS や配信に出し、聴いてくれる人を増やしていきます。

よい所

  • 作りたい曲を、作りたいように作れる
  • 曲が自分の名前で世に出て、聴く人に覚えてもらえる

大変な所

  • 聴いてもらえるまで、お金になりにくい
  • 作る以外に、届ける工夫(SNS・動画)も自分でやる

やること

  • 感動した曲の、どこが刺さったかを言葉にして、自分の曲に取り入れる
  • 作ったら SNS や配信で世に出し、反応を見て次に活かす
  • 完璧主義で止まらず、速く作って出す

2-32つの違い

いちばんの違いは、曲を最初に選ぶ人です。

商業作家の曲は、世に出る前にプロデューサーが選ぶ。アーティスト型の曲は、世に出した後に聴く人が選ぶ。

だから、商業作家には注文を読む力が、アーティスト型作家には自分で届ける力が要ります。

作曲の手順参考曲を一つ決めて、順番に作る

4-1DAWを用意する

まず、DAWを用意します。

DAW は、パソコンで曲を作るためのソフトです。

4-2参考曲を一つだけ決める

作りたい曲の参考曲を、一つだけ決めます。

ある程度有名な曲がいいです。

研究

前の曲から部品をもらって新しい曲を作るのは、ずるではありません。音楽の歴史で、ずっと続いてきた作り方です。1

注意

お手本が1つだと、作った物はそのお手本に似てきます。新しい物を考える研究で分かっていることで、作曲でも同じことが起きると考えられます。2 最初の1曲は練習なので、似ていて大丈夫です。

4-3BPMとコード進行を確かめる

参考曲のBPMとコード進行を確かめます。

BPM は曲の速さ(1分間の拍の数)、コード進行は和音の並びです。

研究

脳は曲を1かたまりで聴いていません。メロディとリズムは、少なくとも一部は別々に処理されています。3 音楽学でも、曲をメロディ・リズム・コード・音色などの部品に分けて考えます。1

研究

BPM を調べると、半分や2倍の数字が出ることがあります。87 と 174 は、同じ曲を「1・2・3・4」と数えるか「1と2と3と4と」と数えるかの違いで、人によっても数え方が分かれます。4 テンポを当てるソフトの比べ合いでも、半分や2倍を正解に数える採点があります。5

4-4コード進行とドラムを打ち込む

コード進行を打ち込み、次にドラムを聴いて打ち込みます。どちらも音源を参考にしながら進めます。

研究

聴くだけより、手を動かす方が身につきます。大学の授業の研究で分かっていることです(音楽の研究ではありません)。6,7

4-5アレンジする

あとはアレンジ。聴きながら、各楽器のことを勉強して打ち込んでいきます。

出典

  1. Burkholder, J. P. (2001). Borrowing. In Grove Music Online. Oxford University Press. doi.org/10.1093/gmo/9781561592630.article.52918
  2. Smith, S. M., Ward, T. B., & Schumacher, J. S. (1993). Constraining effects of examples in a creative generation task. Memory & Cognition, 21(6), 837–845. doi.org/10.3758/BF03202751
  3. Peretz, I., & Coltheart, M. (2003). Modularity of music processing. Nature Neuroscience, 6(7), 688–691. doi.org/10.1038/nn1083
  4. McKinney, M. F., & Moelants, D. (2006). Ambiguity in tempo perception: What draws listeners to different metrical levels? Music Perception, 24(2), 155–166. doi.org/10.1525/mp.2006.24.2.155
  5. Schreiber, H., Urbano, J., & Müller, M. (2020). Music tempo estimation: Are we done yet? Transactions of the International Society for Music Information Retrieval, 3(1), 111. doi.org/10.5334/tismir.43
  6. Freeman, S., Eddy, S. L., McDonough, M., Smith, M. K., Okoroafor, N., Jordt, H., & Wenderoth, M. P. (2014). Active learning increases student performance in science, engineering, and mathematics. PNAS, 111(23), 8410–8415. doi.org/10.1073/pnas.1319030111
  7. Chi, M. T. H., & Wylie, R. (2014). The ICAP framework: Linking cognitive engagement to active learning outcomes. Educational Psychologist, 49(4), 219–243. doi.org/10.1080/00461520.2014.965823